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  2013年7月17日 更新 
J Hypertens. 2012 Dec;30(12):2299-306. PMID: 23079682 
Takashima N, Ohkubo T, Miura K, Okamura T, Murakami Y, Fujiyoshi A, Nagasawa SY, Kadota A, Kita Y, Miyagawa N, Hisamatsu T, Hayakawa T, Okayama A, Ueshima H; NIPPON DATA80 Research Group.
Long-term risk of BP values above normal for cardiovascular mortality: a 24-year observation of Japanese aged 30 to 92 years.
 
血圧レベルとその後24年間の循環器疾患死亡リスクとの関連: NIPPON DATA80



《目的》 欧米人においては、ベースライン時に測定された血圧によって、心血管疾患死亡率に対する(20年以上の)長期的な危険性を予測できるという報告がある。しかしながら、脳卒中が主要であるアジア諸国においては、このようなエビデンスは十分でない。そこで、日本人を代表する集団において、ベースライン時の血圧が、循環器疾患による24年間の死亡リスクを予測するか、またベースライン時の高い血圧による循環器疾患死亡の集団寄与危険割合を検討した。

《方法》 ベースライン時に循環器疾患の既往歴や降圧薬の服用歴を持たない、30歳以上の日本人8592名を24年間追跡した。JCN7区分によって定義された血圧分類において、正常血圧を対照とし、循環器疾患の危険因子を調整したCox比例ハザードモデルを用いて、循環器疾患死亡のハザード比を推定した。集団寄与危険割合は調整ハザード比を用いて算出した。

《結果》 追跡期間中に689名の循環器疾患死亡が観察された。循環器疾患死亡のハザード比は、高血圧前症(120/80mmHg以上)から血圧が上昇するにしたがって有意に上昇した。正常(至適)血圧より高い血圧による集団寄与危険割合は循環器疾患死亡で43%および脳卒中死亡では48%であった。ハザード比および集団寄与危険割合は、高齢者(60歳以上)よりも、若年者(30歳から59歳)において高かった。特に若年者では、正常(至適)血圧より高い血圧による集団寄与危険割合は循環器疾患死亡の81%であった。また、降圧薬を服用している対象者を含めた解析では、循環器疾患死亡のハザード比は、降圧薬服用群が最も高かった。


《結論》 ベースライン時に正常(至適)血圧より高い血圧は、20年以上にわたって循環器疾患および脳卒中の死亡に影響を与えることをアジア人集団で初めて明らかにした。特に過剰リスクは若年者において大きくみられた。若年世代からの高血圧に対する一次予防の重要性が強く示唆された。

 文責 公衆衛生学部門 特任助教 高嶋直敬
 
 
 2013年7月10日 更新  
Eur Heart J Cardiovasc Imaging. 2013  Sep;14(9):921-7. PMID: 23764486 
Fujiyoshi A, Sekikawa A, Shin C, Masaki K, David Curb J, Ohkubo T, Miura K, Kadowaki T, Kadowaki S, Kadota A, Edmundowicz D, Shah A, Evans RW, Bertolet M, Choo J, Willcox BJ, Okamura T, Maegawa H, Murata K, Kuller LH, Ueshima H; for the ERA JUMP (Electron-Beam Tomography, Risk Factor Assessment Among Japanese and U.S. Men in the Post-World War II Birth Cohort) Study Group.
A cross-sectional association of obesity with coronary calcium among Japanese, Koreans, Japanese Americans, and US Whites.
 
日本人、韓国人、日系米国人、米国白人における、肥満と冠動脈石灰化の横断的関連



《目的》 冠動脈におけるアテローム性動脈硬化の指標である冠動脈石灰化について、肥満が独立して関連するかは、明らかでない。そこで、肥満レベルおよび冠動脈疾患レベルの異なった多民族を対象とし、肥満と冠動脈石灰化との独立した関連を検討した。

《方法および結果》 2002−2006年にかけて調査した40−49歳の心血管疾患既往のない地域住民男性、合計1212名(日本人310名、韓国人294名、日系米国人300名および米国白人308名)を分析対象とした。Agatstonスコア(冠動脈石灰化の指標)が10以上の場合を「冠動脈石灰化あり」と定義した。各民族集団BMIの三分位毎に、冠動脈石灰化の有病率を算出し、対応する三分位でのBMI中央値とで関連を検討した。さらに、BMIが従来の危険因子と独立した関連であるかを調べるために、ロジスティック回帰分析を行った。BMIの中央値および冠動脈石灰化の粗有病率はそれぞれ、日本人で23.4 kg/m2および12%、韓国人で24.4 kg/m2および11%、日系米国人で27.4 kg/m2および32%、米国白人で27.1 kg/m2および26%であった。集団のBMIおよび冠動脈石灰化の程度に差があるにも関わらず、各集団において、BMIが上昇するとともに冠動脈石灰化の有病率も上昇していた。また、日系米国人を除く全集団で、年齢、喫煙、飲酒、高血圧、脂質異常および糖尿病とは独立して、BMIと冠動脈石灰化との間に正の関連が認められた。

《結論》 多民族の40−49歳男性において、BMIの程度に関わらず、肥満は独立して冠動脈のアテローム性動脈硬化症と正の関連を有していた。


文責 公衆衛生学部門 特任講師 藤吉朗
 
 
2013年6月5日 更新 
Am J Clin Nutr. 2013 May;97(5):1083-91. PMID: 23553162
Oude Griep LM, Stamler J, Chan Q, Van Horn L, Steffen LM, Miura K, Ueshima H, Okuda N, Zhao L, Daviglus ML, Elliott P; INTERMAP Research Group.
Association of raw fruit and fruit juice consumption with blood pressure: the INTERMAP Study.  
 
生の果物および100%果汁の摂取と血圧との関連:栄養と血圧に関する国際共同研究INTERMAP



《背景》 果物摂取が血圧を低下させ、循環器疾患のリスクを低減させる可能性があることを示す疫学的根拠があるが、生の果物あるいは100%果汁がそれぞれ独立して血圧に与える効果は明らかではない。

《目的》 日本、中国、イギリス、アメリカの40歳から59歳の男女4680名に対して行われた栄養と血圧に関する国際共同研究INTERMAPにおける横断研究の結果を基に、生の果物および100%果汁の摂取量と血圧との関連を定量化した。

《方法》 対象者は4回の訪問において、血圧測定を8回、24時間思い出し法による食事調査を4回、24時間蓄尿を2回行った。各国ごとの多変量線形回帰係数は、ナトリウム排泄量を含む調整を行い、評価および統合し、分散の逆数によって重み付けした。

《結果》 生の果物の総摂取量は、最も低いアメリカにおいて52±65 g/1000 kcal、最も高い中国において68±70 g/1000 kcalだった。対象国全体あるいは欧米諸国において、個々の生の果物摂取量と血圧との関連は観察されなかった。しかしながら、東アジア諸国においては、拡張期血圧との間に正の関連が見られた(50 g/1000 kcalあたり0.37 mm Hg:95%信頼区間0.02, 0.71)。他に拡張期血圧との間に正の関連が認められたのは、欧米諸国における柑橘類摂取量(25 g/1000 kcalあたり0.47 mm Hg:95%信頼区間0.12, 0.81)、東アジア諸国におけるりんご摂取量(0.40 mm Hg:95%信頼区間0.03, 0.78)であった。東アジア諸国におけるバナナ摂取量と拡張期血圧との間には、負の関連(−1.01 mm Hg:95%信頼区間−1.88, −0.02)が認められた。100%果汁の摂取量は、アジア諸国ではごく少量であり、欧米諸国においては、血圧との関連は認められなかった。

《結論》 
個人の新鮮な果物および100%果汁の摂取量と血圧の間には、一貫した関連は見出だされなかった。 
 
 
文責 公衆衛生学部門 特任助教 永井雅人
 
 
2013年6月4日 更新 
J Hypertens. 2013 Jun;31(6):1144-1150. PMID: 23572200 
Miura K, Stamler J, Brown IJ, Ueshima H, Nakagawa H, Sakurai M, Chan Q, Appel LJ, Okayama A, Okuda N, Curb JD, Rodriguez BL, Robertson C, Zhao L, Elliott P; for the INTERMAP Research Group.
Relationship of dietary monounsaturated fatty acids to blood pressure: the international study of macro/micronutrients and blood pressure. 
 
食事中一価不飽和脂肪酸と血圧の関連:栄養と血圧に関する国際共同研究INTERMAP



《目的》 これまで飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸、炭水化物など一部の主要栄養素を一価不飽和脂肪酸に置き換える短期間の食事指導により、血圧が低下することが示されている。しかしながら、観察研究においては、一価不飽和脂肪酸の摂取と血圧の関連は明らかにされていなかった。そこで本研究では、横断研究によって、個人の一価不飽和脂肪酸摂取量と血圧との関連を検討した。

《方法》 栄養と血圧に関する国際共同研究INTERMAPは、中国、日本、イギリス、アメリカ4カ国の17集団における、40歳から59歳の男女4680名を対象にした横断的疫学研究である。栄養素摂取量のデータは、1人あたり4回の詳細な24時間思い出し法、および2回の24時間蓄尿の結果に基づく。また、血圧は1人あたり4回の訪問により8回測定した。

《結果》 一価不飽和脂肪酸摂取量(エネルギー比率)は、一番低い中国において8.1%、一番多いアメリカにおいて12.2%だった。多変量調整を行った線形回帰分析では、対象者全体において、一価不飽和脂肪酸摂取量と拡張期血圧の間に、有意な負の関連が示された。この関連は、2238名の非介入群(特別な食事またはサプリメントの摂取がない者・循環器疾患または糖尿病の既往歴がない者・高血圧または心血管疾患、糖尿病の薬を服用していない者)において、より強く認められた。一価不飽和脂肪酸摂取量が2標準偏差(5.35%kcal)高くなると、拡張期血圧の差は、全対象者において−0.82 mmHg(P<0.05)、非介入群において−1.70 mmHg(P<0.01)であった。非介入群において、食事に含まれるオレイン酸総摂取量と血圧の間には有意な負の関連は認められなかったが、植物性食品からのオレイン酸と血圧の間には、有意な負の関連が認められた(P<0.05)。

《結論》 一般集団において、食事に含まれる一価不飽和脂肪酸、中でも植物性食品からのオレイン酸が、高い血圧の予防およびコントロールに有効である可能性が示唆された。
 
 
 
文責 公衆衛生学部門 教授 三浦克之
 
 
2013年6月4日 更新 
BMJ Open. 2013 Mar 15;3(3). PMID: 23572200  
Murakami Y, Okamura T, Nakamura K, Miura K, Ueshima H.
The clustering of cardiovascular disease risk factors and their impacts on annual medical expenditure in Japan: community-based cost analysis using Gamma regression models.  
 
循環器疾患の危険因子の集積が日本の年間医療費に与える影響:ガンマ回帰モデルを用いた地域集団に基づいた費用分析



《目的》 循環器疾患の危険因子の集積は、増加する医療費に対し重大な脅威となる。循環器疾患の危険因子に起因する医療費の年齢別の割合および分布は、特に高齢者に集中している。従って、高齢化が進む先進国における公衆衛生政策の立案にあたって、これらの問題を無視することはできない。

《研究デザイン》 個人あたりの医療費および対応する健康診断項目を基にした費用分析

《実施場所/期間》 滋賀県/2000年4月から2006年3月

《対象者》 40歳以上の33,213名

《主な評価項目》 年間医療費の平均値

《方法》 循環器疾患の危険因子数が医療費の平均値に与える影響を分析するために、ガンマ回帰モデルを用いた。本研究において分析に用いた、循環器疾患の4つの危険因子は、以下の通り規定した。高血圧(収縮期血圧140 mm Hg以上あるいは拡張期血圧90 mm Hg以上)/高コレステロール血症(血清総コレステロール240 mg/dl以上)/高血糖(随時血糖200 mg/dl以上)/喫煙(現在喫煙)。これを基に、性別および年齢別の検討を、高齢者(65歳以上)、非高齢者(40歳から64歳)に対して行った。

《結果》 年間医療費の平均値は、循環器疾患の危険因子を持たない50歳では110,000円(男性110,708円、女性107,109円)であったのに対し、危険因子を3?4項目持つ80歳ではその6?7倍(男性603,351円、女性765,673円)に及んだ。超過寄与割合は、非高齢者(男性15.4%、女性11.1%)の方が高齢者(男性0.1%、女性5.2%)よりも高く、この割合は、循環器疾患の危険因子を1つか2つ持つ、高齢男性を除く人々によって大きく引き上げられていた。

《結論》 循環器疾患の危険因子に起因する医療費の年齢別の割合および分布は、高齢者に対するハイリスクアプローチおよび集団全体に対するポピュレーションアプローチの双方が日本の総医療費削減のために不可欠であることを示した。
 
 
  
 文責 医療統計部門 准教授 村上義孝
 
 
2013年5月29日 更新 
Diabetes Care 2013. vol. 36 no. (11) 3759-3765 doi: 10.2337/dc12-2412
Sakurai M, Saitoh S, Miura K, Nakagawa H, Ohnishi H, Akasaka H, Kadota A, Kita Y, Hayakawa T, Ohkubo T, Okayama A, Okamura T, Ueshima H, for the NIPPON DATA 90 Research Group
Glycated hemoglobin (HbA1c) and the risks for all-cause and cardiovascular mortality in the general Japanese population: NIPPON DATA90. 
 
ヘモグロビンA1c(NGSP)値と総死亡,心血管疾患死亡との関連



《背景》 ヘモグロビンA1c (HbA1c)と心血管疾患の関連は,主に欧米の研究で報告されているが,アジア人での検討は少ない。

《対象と方法》 心血管疾患の既往の無いNIPPON DATA90の対象者7120名(男2962名,女4158名,平均年齢 52.3歳)を15年間追跡した。HbA1c 5.0%未満を対照として,HbA1c 5.0-5.4%,5.5-5.9%,6.0-6.4%,6.5%以上,および糖尿病治療者の総死亡,および心血管疾患死亡のリスクを求めた。

《結果》 15年間で1104名の死亡を確認した(脳心血管疾患304名,うち冠動脈疾患61名,脳卒中127名)。HbA1c 5%未満を対照とした総死亡のハザード比は,HbA1c 6.0-6.4%で1.95倍,6.5%以上で1.72倍と有意に上昇した。また,HbA1cが高いものほど,心血管疾患による死亡の危険度は有意に上昇し,HbA1c 5%未満を対照とした心血管疾患死亡のハザード比は,HbA1c 6.0%-6.4%で2.18倍,6.5%以上で2.75倍と有意に上昇した。HbA1cと冠血管疾患死亡,および脳梗塞による死亡の間にも同様な関連が認められた。

《結論》 これまでの西洋からの報告と同様に,アジア人においてもHbA1c高値は総死亡および心血管疾患死亡のリスクの上昇と関連していた。

 →「NIPPONDATA80/90」健康教育に使える資料
文責 金沢医科大学医学部公衆衛生学 准教授 櫻井勝


 
 
2013年4月5日 更新 
Circulation. 2012 Nov 20;126(21):2456-64. PMID: 23093587
Tzoulaki I, Patel CJ, Okamura T, Chan Q, Brown IJ, Miura K, Ueshima H, Zhao L, Van Horn L, Daviglus ML, Stamler J, Butte AJ, Ioannidis JP, Elliott P.
A nutrient-wide association study on blood pressure.
 
血圧と全栄養関連解析



系統的な偏りのない栄養素と血圧の関連性を検討するために全栄養関連解析(nutrient-wide approach study)を実施した。
栄養と血圧に関する国際共同研究であるINTERMAP研究(International Study of Macro/Micronutrients and Blood Pressure)に参加した40-59歳の4,680人を対象として,無作為に半分に分け,それぞれ検討用データセットとテスト用データセットとした。外部妥当性の検討には米国国民健康・栄養調査(US National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES))の4期(1999-2000, 2001-2002, 2003-2004, 2005-2006)のデータを用いた。INTERMAP研究,NHANESはいずれも横断研究である。検討用データセットを用いて,重回帰分析にて82種類の栄養素および3種類の尿中電解質と収縮期,拡張期血圧の関連を検討し,統計的に有意な関連があった栄養素については,INTERMAPのテスト用データセットを用いて内部妥当性を,NHANESデータを用いて外部妥当性を検討した(偽陽性率は検討用データセットで5%未満とし,内部妥当性,外部妥当性の検討ではP<0.05を有意とした)。妥当性を検討した栄養素では,アルコールと尿中Na/K比は収縮期血圧と正の関連を示し,食事性のリン,マグネシウム,鉄,ビタミンB1,葉酸,ビタミンB2は収縮期血圧と負の関連を示した。さらに食事性の葉酸とビタミンB2は拡張期血圧とも負の関連を示した。NHANESデータにおいて,収縮期血圧は,栄養素の摂取量1SD増加ごとに0.97mmHg(リン)から0.39mmHg(葉酸)までの低下を示した。食事に加えてサプリメントからの栄養素摂取状況と血圧の関連を検討したところ,葉酸,ビタミンB1,ビタミンB2との関連は弱くなったが,統計的に有意な関連を示した他の栄養素については概ね同様の結果を得た。
これまで弱い関連しか示されてこなかったビタミンB群と血圧の間に有意な負の関連を認めた。本解析により,系統的な偏りのない栄養素と血圧の関連を評価できたといえる。


文責 公衆衛生学部門 教授 三浦克之
 

 
Circulation. 2012;125:1226-1233. PMID:22308300
Prognostic Values of Clockwise and Counterclockwise Rotation for Cardiovascular Mortality in Japanese Subjects
A 24-Year Follow-Up of the National Integrated Project for Prospective Observation of Noncommunicable Disease and Its Trends in the Aged,1980-2004 (NIPPON DATA80)
 
心電図時計方向回転および反時計方向回転と心血管疾患死亡リスク(NIPPON DATA80, 24年追跡)



《目的》 Einthovenが心電図を発明した1895年以来不明であった時計方向回転および反時計方向回転の意義を心血管疾患死亡リスクとの関連について検討した。

《方法》 1980年に無作為抽出した全国300ヵ所において30才以上の男女を対象として検診と生活習慣調査を行い、心筋梗塞または脳卒中の既往のない9,067人(男性44%、女性51%)を24年間追跡した。

《結果》 追跡期間中に総死亡が2,581人、心血管死が887人、心筋梗塞死が179人、心不全死が173人、脳卒中死が411人あった。生化学検査値、他の心電図所見および交絡因子を調整して行ったCox解析の結果、時計方向回転は以下の死亡と有意な正の関連があった:男女合わせた心不全死 (ハザード比[HR]=1.79, 95%信頼区間[CI]: 1.13-2.83, P=0.013);男および男女の心血管死 (男HR=1.49 [1.12-1.98], P=0.007; 男女HR=1.28 [1.02-1.59], P=0.030);男および男女の総死亡(男HR=1.19 [1.00-1.49], P=0.0496; 男女HR=1.15 [1.00-1.32], P=0.045)。反時計方向回転は以下の死亡と有意な負の関連があった:男女の脳卒中死 (HR=0.77 [0.62-0.96], P=0.017);男および男女の心血管死(男:HR=0.74 [0.59-0.94], P=0.011;男女HR=0.81 [0.70-0.94], P=0.006); 女性の総死亡(HR=0.87 [0.77-0.98], P=0.023)。

《結論》 他の心電図所見および交絡因子とは独立して時計方向回転は男および男女の心血管死と正の関連が、反時計方向回転は男および男女の血管死と負の関連があった。

 文責 京都女子大学家政学部生活福祉学科 教授 中村保幸 (滋賀医科大学客員教授)
 
 
 
Nature. 2011;478:103-109. PMID:21909115  
Genetic variants in novel pathways influence blood pressure and cardiovascular disease risk.
The International Consortium for Blood Pressure Genome-Wide Association Studies
 
血圧と循環器疾患に関与する新規の遺伝子変異



《要約》
血圧には多くのメカニズムが関与しており、遺伝性の性質の一つで、環境の影響(訳者注:塩分摂取量や肥満、運動習慣などの食生活習慣)によって変化する。また全世界では10億以上の人々が高血圧(収縮期140mmHg以上、または/かつ拡張期90mmHg 以上)である。これまでの報告からたとえわずかな血圧の上昇であっても循環器疾患のリスクの増加と関係することが知られている。本研究(血圧のゲノムワイド研究(GWAS))では20万人以上の欧州出身者を対象としてmulti-stage designを用いて行い、16の新しい遺伝子変異か所を特定した。うち6か所は血圧制御に関与が知られているあるいは示唆されている遺伝子(GUCY1A3-GUCY1B3, NPR3-C5orf23, ADM, FURIN-FES, GOSR2, GNAS-EDN3)に関する変異であった。残りの10か所は新規の遺伝子に関する変異であった。GWASで血圧と有意な関連を認めた29か所(訳者注:新規の16変異と既知の13変異)の変異を基にしたリスクスコアは高血圧、左心室壁肥厚、脳卒中、冠動脈疾患と有意な関連を示したが、腎疾患や腎機能とは有意な関係を示さなかった。さらに研究グループでは東アジア、南アジア、アフリカ出身者でも遺伝子変異が血圧と関連することを明らかにした。本研究は血圧の生化学、遺伝学的な新たな知見であり、循環器疾患予防のための新しい治療方法への扉を開くものである。

《コメント》
GWAS国際コンソーシアムには公衆衛生学部門の喜多義邦、大久保孝義、生活習慣病予防センター上島弘嗣が参加しています。また公衆衛生学部門、生活習慣病予防センターが実施する疫学調査である「高島研究」、「信楽研究」の結果が活用されています。 


 文責 公衆衛生学部門 高嶋直敬、喜多義邦
*滋賀医科大学機関リポジトリ「びわ庫」でも紹介しています 
   

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